同業で独立するスタッフによるご利用者の横取りを防ぐ

弊所の顧問弁護士としての対応ケースをご紹介します。顧問契約のご参考になれば幸いです(守秘義務の関係上、一部事案を改変しています)。
当事務所は介護・福祉分野のトラブル予防、トラブル対応に特化しております。日々、様々な事案に対応しますが、ともに働いていた仲間の独立に対して対応することもあります。独立と聞くと巣立つことを想起し、良い意味で捉えることもできますが、同業での独立となると少々気を付けねばならないことが発生します。

今回は、とある訪問看護事業所で発生した、同業で独立するスタッフへの対応事例をご紹介します。当事務所の顧問先の訪問看護事業所からご相談をいただいた件です。
その事業所で働くスタッフのAさんが独立して訪問看護事業を始めるということで、今の事業所のご利用者や職員を連れていかれないか不安であるというご相談でした。

スタッフのAさんは、今働いている訪問看護事業所でご利用者と接する立場にあります。Aさんの独立に際し、Aさんが接するご利用者がそのまま居なくなってしまっては困るのは当然のことです。職員についても同様で、今の職場の待遇より良い待遇を用意すると確約し引き抜くことを行えば、たちまち事業所運営は成り立たなくなります。

とある訪問看護事務所での出来事

そこで、当事務所は独立するAさんに対し、内容証明書を送りリスクヘッジを行いました。

独立して事業を行うことは個人の自由ではありますが、故意にご利用者や職員を引き抜くことは、誠実義務
や競業避止義務に違反することとなり賠償義務を負う可能性が発生します。

介護福祉は、人が接しないと成立しないことが多く、どうしても「人に仕事がつく」ことが多い業界です。それゆえに「結果的にご利用者や職員がついてきた」ということも少なくはありません。ご利用者や職員が自らの意思でついていくことは不可抗力で仕方ないことですが、独立するスタッフが「自分のお客さんだ」「自分のスキルや人柄で仕事を得られているのだ」という勘違いをしてしまうと困ってしまいます。それを今回は予めくぎを刺すという方法で回避したというわけです。

事前に警告しておくことが大事

世間的には副業解禁の動きもあり、少し仕事で自信を持ったら独立という選択をしやすい時代になりました。それ故に元の職場と同業で独立する方が増えてくる可能性はあります。誰が、どんな仕事をするかは自由ですが、今日の友が明日の敵になってしまった場合、ご利用者やそのご家族に大きな影響が出てしまいますので、出来るだけリスクは回避する方が良いでしょう。

今回はご相談をいただいてからすぐに内容証明を送り対応しました。当事務所が主体的に動いて対応することもあれば、顧問先様が主体的に動いて対応するという場合もあります。顧問先様が主体となる場合、参考になる資料や文書の雛型を当事務所で用意し、それに従って進めることでスムーズに対応できるようにしています。

顧問弁護士として当事務所がご支援することで、突発的に発生したトラブルもそうですが、今回のようにトラブルになりかねない事柄に対して事前に措置をとることもできます。

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