ご利用者のはちゃめちゃな嫌がらせへの対応方法

弊所の顧問弁護士としての対応ケースをご紹介します。顧問契約のご参考になれば幸いです(守秘義務の関係上、一部事案を改変しています)。

カスハラ対応はイエローカードから

当事務所は介護・福祉分野のトラブル予防、トラブル対応に特化しております。日々、様々な事案に対応しますが、カスターマーハラスメント(カスハラ)は近年増加傾向のように感じております。ご利用者ご本人、或いはそのご家族からのカスハラで悩む施設のサポートをすることもありますが、施設責任者はじめ職員が心身ともに疲弊する現場というのもよく目にします。人材不足と言われる昨今、なかでもとりわけ人材確保に苦戦しやすい介護福祉業界において、今いる職員が働けなくなる、離脱するというのは大きな問題となっていまいます。ですので、早い段階で対応し出来る限りスムーズな鎮静化を図ってくことを心がけております。

今回は、当事務所の顧問先である、とある住宅型有料老人ホームで発生したカスハラ問題の事例と当事務所の対応についてご紹介します。

ご利用者のはちゃめちゃな嫌がらせへの冷静な対応方法

当事務所の顧問先の住宅型有料老人ホームの施設責任者からご相談をいただいた事例です。

入所したご利用者が、入所当初から職員へ暴言を吐いたり、暴力行為に及ぶといった典型的なカスハラ事例がありました。タバコとライターを部屋に持ち込み、施設側の事務所で預かることを何度説明しても守られず、その都度暴言を吐き、部屋の引き戸につっかえ棒を設置して職員が入れないようにする行為も度々行われました。さらに職員だけでなく、他のご利用者への嫌がらせ、暴言、暴力も発生し、施設にいるすべての人が困り果ててしまいました。

カスハラの状況

そのはちゃめちゃなご利用者は生活保護を受けている方でもあったので、施設側は自治体の生活保護課や包括支援センターの担当ケアマネを交えての面談を行うことで少しでも状況が改善されることを目指しました。しかし、全く改善されず最終的には施設外へ突然出ていき、生活保護課、警察へ連絡をしてご利用者を探すという状態にまで悪化しました。この状況に施設側は疲弊してしまい、そろそろ限界が来るという段階で、顧問弁護士である当事務所へご相談が来ました。

ご相談内容としましては「ご利用者本人に対し、トラブルを起こさない、態度を改めるという誓約書にご署名いただき、それでも改善しない場合は退去していただくという対応をとりますが、どのような書面、文言が適切だろうか」ということでした。

そこで当事務所は、誓約書のテンプレートをご用意して施設に提供しました。当事務所で過去に作成していた書面テンプレートを、顧問先のトラブルやご要望に合わせてアレンジし、それをご提供することも行っています。

当事務所は東京に事務所がございますが、遠方の顧問先の場合、弁護士本人が現地入りするまでに時間がかかってしまいます。しかし、テンプレートを事態に応じてアレンジしてお送りし、それを施設側で印刷、署名することでスピーディーかつ的確に対処できます。どうしても書き方が分からない箇所については、メールや電話、オンライン会議形式でご指導することもできます。

今回は誓約書テンプレートをご提供し、施設側で印刷、署名してご利用者に署名いただくかたちとなりました。

もちろん、今回の場合、ご利用者が何らかの精神疾患や病気を患っている可能性もあります。果たして正常に誓約書を理解できる状態かを見定める必要はありますので、施設側と当方でコミュニケーションをとりながら適切な誓約書を作成するようにしないといけませんでした。

トラブル対処できる専用書面

最終的には、このご利用者は入所して生活環境が変わったことでストレスがたまり、爆発してしまったことが原因のようでした。

今回は「イエローカード」ということで誓約書にご署名いただくことと考えていました。確かに暴言や暴力という酷い行いはありましたが、いきなりレッドカードを出して退去というわけにはいきません。生活する場を急に奪うことはできないため、まずはイエローカードとしての警告を何回か行い、それでもダメならやむなく退去していただくという流れが妥当でしょう。

今回のような事態に備えて、当事務所では現在、介護福祉分野で発生したトラブルへ対応するための書面に関して、様々なテンプレートを準備している最中です。これまで当事務所で作成した各所書面のフォーマットを、顧問先のご要望に合わせてアレンジしてご提できるようにしようとしているところです。この手のテンプレートはネット上ではほとんど共有されていないので、顧問先のお役に立てるかと思い準備を始めております。

しかし、テンプレートは万能ではなく、発生した事態によってはそれが不利な証拠になる場合もあるため、しっかりと状況を見定めて使用することをお勧めします。

当事務所は介護福祉分野に特化した弁護士法人ですので、事態を見極め適切なサポートをご提供することが可能です。

当サイトには顧問弁護士に関するご紹介ページもございます。まだ顧問弁護士契約をされていない方で顧問契約を真剣にご検討頂いている方には20分無料のオンライン面談もご提供しておりますので、お気軽にお問合せください。

また、本コラムはミニコラムとして、短い文章で事例をご紹介しております。もちろん守秘義務の関係で内容は改変しておりますが、お伝えしたいポイントはしっかりお伝えしております。

 

当事務所ではミニコラム以外にもコラムを発信しております。こちらでは出来るだけ詳しく介護福祉において重要なテーマについての分かりやすい解説、対策法、考え方、事例などをお伝えしています。以下よりお進み頂きぜひご確認ください。