入所時の契約はオンライン契約でも全く問題有りません

弊所の顧問弁護士としての対応ケースをご紹介します。顧問契約のご参考になれば幸いです(守秘義務の関係上、一部事案を改変しています)。
当事務所は介護・福祉分野のトラブル予防、トラブル対応に特化しております。日々、様々な事案に対応しますが、今回ご紹介するのはトラブルではなく、オンライン活用に関する疑問について対応した事例です。

コロナ禍を契機に世の中でのオンライン活用は一段と進み、一般企業のビジネスシーンではオンラインを使った業務遂行、商品の売買、採用活動、契約締結が一般的となりました。しかしながら、介護福祉業界はどうしても人が介在しないと成り立たない業務が多く、オンラインを活用するシーンは一般企業よりも多くはありません。とはいえ可能であれば活用して少しでも業務を軽量化したり、効率を高めたいものです。

今回は、当事務所の顧問先である、とある障害者施設の施設責任者より頂戴したオンライン活用に関する疑問とその回答をご紹介します。

入所時の契約はオンライン契約でも全く問題ありません

当事務所の顧問先の障害者施設(生活介護)の施設責任者からメールでご相談をいただいた事例です。

生活介護に通いたいという方のご家族と契約書を交わす際に、入所者のご両親の仕事がとても忙しく、なかなか契約書を交わすことが難しい状況でした。施設に足を運ぶ時間がなかなか取れないということでしたので、施設から契約書をお送りしてオンライン会議ツールのZoom(ズーム)を使って契約内容を説明し、その後電子契約で契約締結という流れを考えていました。

契約に必要な段取りのほとんどを、オンラインを活用した方法で進めていくことが果たして大丈夫なのかという疑問が発生し、当事務所へメールで質問が送られてきました。

この件に関しては「その段取りで全く問題ございません」という回答を申し上げて完了しました。

とてもシンプルなやり取りで完結してしまいましたが、やはりオンライン面談形式で契約書の内容を説明し、電子契約で契約締結させると、あまりにもあっけなく完了するため「果たしてこれで契約が正式にできたと考えて大丈夫なのだろうか」という一抹の不安が残るかもしれません。

しかし、この方法で結ばれた契約は、障害福祉サービスであろうと介護保険であろうと、正式な契約として成立します。

そもそも一般法である民法によれば、契約は口頭でも成立するものでありその形態は自由です。よって郵送や、電子契約書でも問題はありません。

なお、障害者総合支援法には利用契約書以外に「重要事項」について口頭で説明し書面(重要事項説明書。いわゆる「重説」)を交付する必要がありますが、それも直接対面しなければならないとは書いてありません。

さらに言えば、本件は施設に入所する形態ではなく、在宅で受ける居宅サービス(生活介護)なので、よりライトに考えても問題ないでしょう。これがもし「施設に永続的に入所する」ということであればお互いに誤解や理解不足のないよう直接会う、という扱いにしても意味はあるものと思います。

人間は習慣化された行動を好む傾向があるので、「いつも通り」というものに安住してしまいがちです。そのため普段とは違う形式で行動すると違和感を覚えたり、不安を感じたりするのも無理はありません。しかし、現場の人手不足問題は深刻です。できる限り合理的かつ、ご利用者に不利益のない方法を選択していきたいものですね。

当事務所は介護福祉分野に特化した弁護士法人で、顧問先からのご相談、ご質問に素早く的確にアドバイス、回答することを心がけております。トラブルだけでなく、今回のような「これってどうなの?」という疑問にもお答えし、介護福祉分野で働く方々の知識や学びに活かしていただいております。

当サイトには顧問弁護士に関するご紹介ページもございますので、ぜひご覧ください。まだ顧問弁護士契約をされていない方で顧問契約を真剣にご検討頂いている方には20分無料のオンライン面談もご提供しておりますので、お気軽にお問合せください。

また、本コラムはミニコラムとして、短い文章で事例をご紹介しております。もちろん守秘義務の関係で内容は改変しておりますが、お伝えしたいポイントはしっかりお伝えしております。

 

当事務所ではミニコラム以外にもコラムを発信しております。こちらでは出来るだけ詳しく介護福祉において重要なテーマについての分かりやすい解説、対策法、考え方、事例などをお伝えしています。以下よりお進み頂きぜひご確認ください。