弊所の顧問弁護士としての対応ケースをご紹介します。顧問契約のご参考になれば幸いです(守秘義務の関係上、一部事案を改変しています)。
意外と盲点!?完全な言いがかりへ対応するときのマインドセット
当事務所は介護・福祉分野のトラブル予防、トラブル対応に特化しております。日々、様々な事案に対応しますが、今回解説するのは、根拠がなく明らかに言いがかりといえるレベルのカスハラについてです。
日々、事業所を運営していると、細心の注意を払っていても大小のクレームは発生してしまうこともあるでしょう。完全に事業所側の落ち度がある場合は誠意をもって謝罪、対応する必要があります。
しかし、実はその姿勢が裏目に出るときがあるので要注意です。案件の中にはあまりにも酷いクレーム、カスハラが紛れていることがあります。そのような滅茶苦茶な言いがかりについても、真面目な人ほど正面から向き合ってしまい、振り回されるということが起きがちです。しかし、元がコミュニケ―ションの通じない相手ですから、こちらが真面目に対応すればするほど事業所側が疲弊し、担当職員はもちろんそのセクションの関係者全員が巻き込まれ疲弊するという悪循環を生みかねません。クレームへの対応をどこまで行うか、そして、どのようにカスハラを見極め迅速に対処するかは、この人材難の時代においてますます大事な課題です。
今回は当事務所の顧問先介護施設の事例をもとに、カスハラ対応に対する落とし穴と考え方を解説します。
あまりに酷いカスハラはまともに相手をしてはならない
施設ご利用者の息子さんがご利用者(親)に虐待をしているらしいと、職員が気づきました。その後、行政や包括支援センターから息子さんへ連絡が入り、息子さんから突然施設に怒りの連絡が来ました。「自分が虐待をしていると勝手に決めつけやがって!勝手にあることないこと行政に報告したな。名誉毀損だ!」と窓口の職員に怒鳴りました。そして、「何を言ったか全て文書で出せ!」という要求を突き付けてきました。
これに対して施設責任者は「全て記録を取っている訳ではないので回答できない」と連絡しましたが「1週間後までに、職員本人に確認して何を言ったのか確定して回答を出せ!」と引き下がらず、責任者も困り果ててしまいました。
息子さんの言う通りに1週間後に連絡をして「こちらには記録が無いので、詳細は情報開示の手続きを行政にしてください」とお伝えしたところ「こちらは、職員が行政に虐待のことを言ったか、名誉毀損があったのかを聞いている。それだけでいいから文書で出せ!それなら出来るだろ!」とまた興奮して要求してきました。
どのように説明して納得してもらうか考えても解決策が見えず、当事務所へご相談がありました。
当事務所としてはシンプルにこのようにアドバイスをしました。
自分の名誉感情を傷つける発言をしたということを言ったか否かはっきりさせてほしいということであれば、「当該職員に確認した結果、こちらとしてはそのような発言はなかったものと認識している」と端的に答え
終わらせれば良いでしょう。
今回の事例では、虐待の兆候に気づいた職員は、ルールに従って行政や包括支援センターへ連絡しただけであり、息子さんを辱める、陥れるような意図をもって連絡をしたわけではありません。また、SNSなど不特定多数に向けてこの情報を発信したわけでもなく、名誉毀損などは当然成立しません。職員として当たり前の職務を全うしただけのことですので、このような主張は完全な言いがかりです。
受ける側としては、言いがかりに真正面から対応し、「相手に納得してもらう」必要は無いのです。
・規定に則り職務を全うしただけのこと
・当事者を陥れるような意図も発言も無かった
ということだけを伝えるのが良いでしょう。
こういう場合は真面目に考えこんだらいけません。 それまでの対応経緯を見て「これは危険だ」と思ったことは、この息子さんに謝罪の言葉を発していたことです。勿論、転倒事故などこちらに何らかの落ち度を認め得るような場合は即座に道義的謝罪をすることが原則です。しかし、いかなる場合もただ謝ればいいというものでは決してないのです。言いがかりをつける人は、相手が低姿勢に出て謝ったことで益々勢いづき、非常識な要求を繰り返すことになります。この点をできるだけ早い段階で見極め、だらだらと長引かせないことが肝要です。
しかし、やはり現場にいる場合はご利用者の家族から来る高圧的なカスハラを前に、毅然と対応するのは勇気がいることだと思います。「自分が間違っていたら不安」という考えから、相手の一挙手一投足に反応してしまうのも無理はありません。そういった場合は、ぜひ当事務所のような専門家を活用していただけたらと思います。当事務所は介護福祉分野に特化した弁護士法人で、今回のような明らかなカスハラから、「ここは慎重に対応しないと裁判沙汰になる」という難しいケースまで、あらゆる事例に対応してきています。その膨大な経験と知識に基づき、正確なアドバイスを瞬時にお出しすることが可能です。
特に顧問先からのご相談、ご質問に素早く的確にアドバイス、回答することを心がけております。明確な線引きが難しい事案については、個別の事情をうかがいながらアドバイスすることに努めております。特に日々の業務で発生する大小様々なご質問、ご不安を都度解消するには、顧問弁護士契約をお勧めします。
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