医療技術の目覚ましい進歩、一方での少子化・核家族化の進行の結果、我が国は今世紀に入り未曽有の高齢化社会を迎えたといわれて久しいですが、では法律の分野において、この新時代への対応はどれ程力を入れてなされてきたといえるのでしょうか。
二年もない私の浅い弁護士経験ですが、この業界のことを内外から調べていくにつれ、どうも高齢者の問題を専門に扱う事務所は日本においてはまだ存在しないようです。遺産相続や振り込め詐欺、消費者問題、悪質な訪問販売にリフォーム詐欺。これらの問題はいずれも、「一般民事・刑事事件」というおおまかな括りに入れられてきました。そして、料金を払われるお客様が、弁護士先生の事務所や弁護士会館に足を運び、相談に見えられるというのがこの業界の常識でした。
ですが、日々激動し複雑化していくこの情報化社会において、高齢者の方が直面する法律問題はますます多様化し、かつその数も増加の一途を辿っています。そのような時代においては、特定の業界、ないし世代に即した専門家がいて然るべきであると考えます。特にお年寄りの世代は、耳も遠く視力は弱く、記憶力も定かではない。身体的な能力からみて、よりきめ細かで特別な配慮が必要であることは、バリアフリーの施設や街並みを見れば一目瞭然です。法律家にも、お年寄りと向き合うにあたって、当然相応の配慮が求められているといえるでしょう。
身体的な問題からいえば、もちろんのことですが皆が皆戸外へ出て事務所まで相談に行けるわけではありません。でも、本当に深刻な問題を抱えているのは、いつでも相談に行ける健常者ではなく、そのような不自由な環境に置かれた人なのではないか。そしてその人達は、今の法律相談の「常識」からはちゃんと救済されていないのではないか。
その人達を助けたい。私は、社会的弱者である高齢者や障害を有する方の中でも、特に体が不自由で事務所や裁判所まで来ることができない人の力になりたいと強く願い、当事務所を設立いたしました。
かかる理念に基づき、当事務所は高齢者・障害者の方が直面する法的問題の解決に特化しております。お声を掛けてくださる皆様全員のもとへ参じることは物理的に困難かもしれませんが、動けないけど苦しんでいる、誰かに相談したいという方がいらっしゃれば、ご自宅まで伺います。
私には目標があります。それは、ともすれば「問題」として、ネガティブに語られる高齢化社会を、もっと明るいイメージに転換させることです。人は皆いずれは年老いて死ぬ定めにある。「老い」は誰にも訪れる現象であり、あっという間に老人を疎んでいた自分自身が「お荷物」とみなされる側に回るときが来る。その摂理を知ることさえできれば、高齢化社会というテーマは、非高齢者の生活から切り離されることなく、もっとポジティブに見直されるのではないかと思っています。
どうぞ悩みを打ち明けて下さい。同じ話を繰り返されても構いません。聞き取れない方には大声でゆっくりはっきり喋ります。文字はできるだけ大きく、分かりやすい表記を心がけます。
世間話に脱線しても構いません。昔話を聞かせて下さい。戦中・戦後の、今の私たちの世代からは想像もつかない体験を教えて下さい。私はそういう話を聞くことが好きです。
以上、当事務所のご紹介を兼ねたご挨拶とさせて頂きます。未熟者ですが、どうぞ宜しくお願い致します。