依頼者にとって最善の結果を目指し対応する

弊所の顧問弁護士としての対応ケースをご紹介します。顧問契約のご参考になれば幸いです(守秘義務の関係上、一部事案を改変しています)。

当事務所は介護・福祉分野の以外にも、これに隣接する医療や保育分野にも対応しております。クリニックや精神病院などの医療機関からのご相談に対応する場合も多々あります。

今回は、とある整形外科クリニックで発生したトラブルと、その対応事例についてご紹介します。

誤診と言い張り、延々と苦情を申し立てる患者(いわゆるモンスターペイシェント)

ある高齢の患者が「腰の具合が悪い」ということで町の整形外科に予約をとり来院しました。

医師が診察を行い、問診、レントゲン検査を入念に行いました。結果として異状は確認されず、患者はそのまま帰宅しました。しかし、後日、患者はクリニックへ現れ、クリニックに対してクレームをつけてきました。

そのクレーム内容は「異状なしと診断されたが、痛みが再発したので別の医療機関を受診したところ、実際は骨折をしていたことが判明した。」「院長の態度が悪く許せない。患者を馬鹿にしている」といった内容でした。

患者がクリニックにやってきた当日は、院長がクレーム対応にあたりました。しかし、患者と院長の話し合いでは、全く話し合いにならず、ひとりでにエキサイトし、自分の主張を押しつけるやり方にクリニック側は困り果てる状態となったそうです。

院長は他の患者様の診察も控えており、患者が来院した際も大勢の患者さんが待合室にいらっしゃいました。繰り広げられるクレーマー患者と院長のやり取りは、患者さんを不安な気持ちにさせ、クリニックに対する社会的信頼を損ないかねません。

怒りが収まらぬクレーマー患者にほとほと困り果てた院長が、当事務所にご相談され、当事務所が関与することとなりました。

まずは当事務所の弁護士がクリニックの代理人として患者に対応することにしました。院長は通常の診察をせねばならないことと、当事者同士での話し合いでは感情が高ぶり、冷静な判断ややり取りができなくなる可能性があるためです。院長からは、「まずは安心して業務に専念できます」と、安堵したお言葉を頂きました。

その後、粘り強く患者の言い分を聞き、クリニック側の見解も伝えました

クリニック側で作成した診察記録をもとに「診察は適切であり、万一見落としがあったとしても診察当日の対応は適切であり、いずれにせよ異状は見受けられなかったため過失は無い」ということを繰り返し説明しました。

しかし、そのような正論で患者が納得し引き下がるはずもなく、患者の主張は収まりませんでした。こちらが返答する前に、何通もの長文の手紙が事務所に送られてきました。しかしその内容は、いずれも根拠が無く法的に認められる主張とは思われませんでした。こちらが何を言おうと、聞く耳を持たずむきになって全否定してくるという姿勢です。

ただ、このままやり取りを長引かせることはクリニックの診療に影響を及ぼし、ウェブにあれこれと批判を書き込まれる等クリニックの評判に悪影響が出る危険性も考えられます。また、院長はじめクリニックで働く従業員の精神的なストレスも無視できません。

クリニック側の著しい落ち度はありませんが、このまま膠着状態が続くことは得策とは言えません。

そこで、当事務所は、今和解に応じるのであれば、特別に「お見舞金」というかたちでいくらかの解決金を支払い、その代わりに「今後はクレームを出さないこと、クリニックの悪口を言いふらさないこと」等を条件とした合意を取り交わすことを提案しました。

本来的にはクリニックに落ち度はありません。裁判も辞さない覚悟でクリニック側の正当性を貫き通すことも可能です。しかしながら、患者側も自身の主張を強く言い張っており、ぶつかり合った状態ではクリニックの通常営業に深刻な悪影響を及ぼすおそれがあります。これを避けることが第一であると考え、院長とも話し合い、解決金の支払いですべてを平和的に収めることにしました

感情的に悔しいところではありますが、平和的かつ素早く解決させるという観点では、このような対応策もあります。ただし、こちらが「負けを認める」というスタンスで提案するのではなく、飽くまで「こちらに非はないが特別に譲歩する」という姿勢で相手方に臨むことが重要です。

結果的にクリニックからは「平和的に解決でき安心しました」といのお声を頂戴しました。

このように、長い目で見た場合徹底対抗ではなく平和的解決を図る方が得策である場合もあります。

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